はるの本棚

口下手な私の人生と推し本について。

【読書】一人称単数 村上主義者である理由を考える

こんにちは、はるのゆきです。

突然ですが、みなさんは村上主義者ですか?

 

この質問を受けて、「村上主義者?何のこと?」と思われたあなたは、村上主義者ではないでしょう。

 

うーん、、どうかな?好きといえば好きだけど、、主義者を名乗るほどの者では…」と悩まれているそこのあなた。その言葉を知っている時点ですでに村上主義者である可能性が高いでしょう。

 

あなたは村上主義者ですか?

いきなりなんのこっちゃ?と申しますと、

えぇそうです。かの村上春樹についてのお話です。

 

村上春樹ファンの敬称として、一般的には「ハルキスト」という言葉が使われますよね。これはノーベル文学賞に彼がノミネートされた時に、テレビのニュースなんかでよく耳にします。「ハルキストの皆様にインタビューしてみましょう!」なんてね。

 

このメジャーな敬称は、村上春樹さん本人にももちろん届いています。しかしご本人的には、ハルキストという呼び名はいまいちしっくりこないらしい。そこで彼自身が提唱しているのが「村上主義者」という敬称なんです。「僕の作品を好まれる方々、“村上主義者”と名乗りませんか?」ってね。

 

この詳しい内容は、村上春樹さんがご自身のエッセイである『村上さんのところ』に綴っているので、ぜひ読んでみてください。村上さんのエッセイ、ユーモアに富んでいてとっても面白いですよ。

 

村上主義者について長々と語ってきましたが、つまり何が言いたいかというと、そう、私はるのゆきも村上主義者です。というお話です。

 

どうして村上主義者なの?彼の作品の魅力は何?と聞かれたとしましょう。

それがですね、、答えるのがとっっても難しいんです、、(好きと言っておきながら何という返答!)

 

村上春樹作品の魅力とは

村上春樹さんの作品はですね、難解なんですよ。

難解っていうのは、難しい言葉がゴロゴロ出て来るとか、専門知識が必要で頭が痛くなる…とかそういう難解さではありません。

 

むしろ村上春樹さんの文章はとても簡潔で、綺麗にまとまっていて、読みやすく、美しい日本語とはまさにこれ!と言いたくなるものです。

長編小説もありますが、話の流れが分かりやすく、誰でも比較的スムーズに読むことができる作家さんだと思います。

 

では何が難解かというと。

それは彼の作品のメッセージを読み解くことです。

 

話はスルスル読めるのに、読み終わった後に、ん?これは何だったんだ…?と迷走してしまう感じ。

 

 

世の中には様々な小説家がいますが、大体その人の伝えたいメッセージって、統一感があるじゃないですか。

例えば私の好きな作家である瀬尾まいこさんであれば「血縁に縛られない人と人の絆の大切さ」であったり、

西加奈子さんであれば「世界で起きている問題に目を向け皆で考えよう」だったり。

この作家さんは、こういうテーマに真摯に向き合っているんだな〜って、伝わって来るものがあるじゃないですか。

 

それが見えないんです、村上春樹さん。

この作品をどういう気持ちで書いているのか、私はここから何を読み解けば良いのか、分からないんです…

 

これは決して、彼の作品を否定しているわけではありません。先述したように、私は村上主義者。村上作品の大ファンなのですから。

 

ではなぜ彼の作品が好きかというと、

メッセージを読み解くのが難解なのに、なぜか読後に強く強く心に残るからです。

読後の余韻が異常に長引くのです。

 

もはや芸術作品

それはおそらく、村上春樹さんの綺麗で隙がない文章力からくるものでもありましょう。

彼が小説家にとって最も大事だと言う、“比喩表現”の巧みさからくるものでもありましょう。

 

彼の文章を読んでいると、とっても有名で厳重に保管された海外の絵画が急に目の前に現れたかのような、現実から急に夢の世界に連れてこられたかのような、奇妙でガツンと心に響く体験ができるのです。

 

好きな理由を言語化できないのに、なぜか心に強く残り中毒性がある。芸術作品としての小説。

 

そんな作品を生み出す村上春樹さん。

おそらくこれから何百年経っても文学界に名を残し続ける彼と、同じ時代を生きていられるなんて幸せですね。

 

 

一人称単数

『一人称単数』

6年ぶりに放たれる、8作からなる短篇小説集

「一人称単数」とは世界のひとかけらを切り取る「単眼」のことだ。しかしその切り口が増えていけばいくほど、「単眼」はきりなく絡み合った「複眼」となる。そしてそこでは、私はもう私でなくなり、僕はもう僕でなくなっていく。そして、そう、あなたはもうあなたでなくなっていく。そこで何が起こり、何が起こらなかったのか? 「一人称単数」の世界にようこそ。

          Amazonの内容紹介より

 

村上作品に馴染みのない方、もしかしたら最後まで読むのを諦めそうになるかもしれません。

しかしぜひ、最後の最後まで読み進めてみてください。

きっと何かが心に残り、尾を引く、芸術的で不思議な読書体験ができるはずです。

 

こんな人におすすめ

⭐︎純文学がすき

   →言わずと知れた日本の名純文学作家です

⭐︎お洒落な読書体験がしたい

   →ジャズやクラシック音楽に合う作品です

⭐︎大人な恋愛に憧れる

   →村上作品の恋愛はどれも大人な雰囲気です

 

 

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はるのゆき