はるの本棚

口下手な私の人生と推し本について。

【読書】永遠の出口 青春時代の自分に出会える

こんにちは、はるのゆきです。

 

高校3年生まで場面緘黙症だった私、読書をすることが心の支えでした。

中高時代に沢山の本を読み、色々な作家さんにハマりました。

宮部みゆきさん、東野圭吾さん、瀬尾まいこさん、梨木里歩さん、京極夏彦さん、、

 

そして森絵都さん。

森絵都さんの代表作といえば『カラフル』でしょう。

私も過去の記事に書かせてもらったように、『カラフル』は自分の現実と向き合う力、明日に進む力をもらえる児童文学の金字塔です。

(↓『カラフル』について書いた過去の記事も、良ければご覧ください。)

 

haruharu2021.hatenablog.com

 

 

そして、『カラフル』と同じくらい私が心を救われた、森絵都さんの作品があります。

それがこちら、『永遠の出口』。

 

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年末に帰省した実家の本棚で見つけ、懐かしくて再読しました。数年ぶりに読んでも、心がとっても潤う感動作でしたので、今回紹介しようと思います。

 

 

あらすじ

森絵都さんの『永遠の出口』、あらすじをご紹介します。

「私は、“永遠”という響きにめっぽう弱い子供だった。」誕生日会をめぐる小さな事件。黒魔女のように恐ろしい担任との闘い。ぐれかかった中学時代。バイト料で買った苺のケーキ。こてんぱんにくだけちった高校での初恋…。どこにでもいる普通の少女、紀子。小学三年から高校三年までの九年間を、七十年代、八十年代のエッセンスをちりばめて描いたベストセラー。第一回本屋大賞第四位作品。

          Amazonの内容紹介より

 

この『永遠の出口』は、森絵都さんが小説すばるで連載していた作品だそうです。

それまでの森絵都さんは、『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞して以来、『カラフル』や『つきのふね』、『DIVE!!』などの傑作を生み出していました。

 

児童文学の次のステップとして、大人向けの文芸誌に連載されたのが『永遠の出口』。

森絵都さんの柔らかい文体が、子どもから思春期、大人になるまでの心の移ろいを鮮やかに描き出し、心に響くこと間違いなしの作品です。

 

 

必死に生きた子ども時代

小学生の人間関係って、時に大人のそれよりも残酷ですよね。

苦手な相手との距離の取り方や、本音と点前を使い分ける力が未熟で、手探りで人間関係を作り上げる日々。善悪の指標は大人にあり、自由がない狭い世界での生活。

今思い返すと、大人である今よりも窮屈で息苦しい日々でした。

 

じゃあ中学生になれば楽になるかというと、それは逆で。

思春期の不安定な心と体が、より人間関係を複雑に作り替えていく。スポーツや勉強、見た目でのヒエラルキーが明確に存在しはじめ、自分の立ち位置を模索しながらビクビクと生活しなければなりません。

 

この『永遠の出口』の主人公である紀子も同じです。

大人からすると小さな人間関係が、紀子にとっては世界の全て。

浮かないように、嫌われないようにそろそろと生活します。そこで感じる違和感をどう飼い慣らせば良いか悩む日々。

爆発してグレた時期もあるけれど、少しずつ成長して、物事に折り合いをつけられるようになる。恋愛に夢中になって空回りしたこともある。

決して綺麗なだけではありませんが、泥臭いからこそキラキラ輝く青春時代が確かにそこにあります

 

 

青春時代の尊さ

あんなに小さなことに一喜一憂し、人間関係に全身全霊で悩み、打ち込むことなんて大人になったらできません。

それは大人になると、「まぁいっか。何とかなる」精神が出て来るからでしょう。

人生の中で、“何とかなる”経験を積み重ねてきたからこそ出て来る余裕。生きるのは楽になりますが、ちょびっと寂しくはありませんか?

 

あの頃、どうしてあんなに必死に生きることができたのかな?

当時の自分は何を考え、何に悩んでいたんだろう?

 

青春時代の自分に出会いたくなったら、この本を読むことをオススメします。

 

永遠の出口』を開くと、あの頃のあなたが存在しているはずです。そして、みずみずしい思い出が蘇り、2度と戻らないあの頃の尊さに気付き、心が揺さぶられることでしょう。

 

安定した大人の生活にちょっぴり飽きている人にこそ、ぜひ読んでほしい作品です。

 

 

こんな人におすすめ

⭐︎大人になって刺激が少ないと感じる

    →青春時代の自分に出会えるはず

⭐︎児童文学が好き

    →森絵都さんの優しい文体がマッチします

⭐︎我が子が何を考えているか分からない

    →子どもの世界を追体験できます

 

はるのゆき