【読書】むかしむかしあるところに、死体がありました。教訓が原作と重なるのが面白い。
こんにちは、はるのゆきです。
最近急に冷え込んできましたね。
寒い日は、ホットカフェオレにチョコレートを添えて、こたつでぬくぬく読書をするのが至高です。
さて先日、青柳碧人さんの『むかしむかしあるところに、死体がありました』を読みました。今回はそのあらすじと感想をお伝えしようと思います。
あらすじ
昔ばなし、な・の・に、新しい!
鬼退治。桃太郎って……え、そうなの!?大きくなあれ。一寸法師が……ヤバすぎる! ここ掘れワンワン。埋まっているのは……ええ!?
「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さんご存じの 《日本昔ばなし》を、密室やアリバイ、ダイイングメッセージといった ミステリのテーマで読み解く全く新しいミステリ! 「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙がえし」「密室龍宮城」「絶海の鬼ヶ島」の全5編収録。Amazonの内容紹介より
上記のように、本作は有名な昔話をモチーフにしたミステリーです。
ミステリーと言っても、緩〜い謎解き的な内容ではありません。殺人を絡めた『超本格ミステリー』です。
短編集なのに一話一話の内容が濃い!
ミステリー好きには外せない一冊だと思います。
感想
ミステリー作品って、ネタバレ無しで感想を書くのが難しいですね…とにかく読んで面白さに驚いてほしいので、ネタバレしないように気を付けます。
※配慮はしていますが、人によってはネタバレと感じる記載があるかもしれません。真っ新な状態で読みたい方は、戻るボタンを押してください。
本作の魅力を3つ挙げてみます
①ミステリーとしての質の高さ
②誰もが知っている昔話の世界観
③昔話の教訓を崩していない
この中で、③に注目して感想を書いてみます。
昔話に教訓があるのはご存知の通りです。
一寸法師…自分の手で人生を切り開こう
花咲か爺さん…ずるをすると失敗する
鶴の恩返し…善行は戻ってくる、ルールは守ろう
浦島太郎…善行は戻ってくる、ルールは守ろう
桃太郎…得意分野を活かそう
などなど。
現代版と原作ではストーリーが異なる部分もあるため、一概にこれ!とは言えませんが。概ね有名なのはこの辺りでしょうか。
本作「むかしむかしあるところに、死体がありました」は、原作のストーリーを改変してミステリーに仕上げています。
しかし、基本となる昔話のストーリーや、登場人物の特性はそのままに残してあります(一寸法師は体が小さく、打出の小槌で大きくなる。など)。
そして、物語を通して読者が学べる教訓も原作になぞらえているものが多いです。
ですので、事件が起こって大変だ!犯人は誰だ!!とミステリーにどっぷりはまりながらも
結末まで読んだ後の感情が、昔話と重なるのです。
これが面白い!
例えば鶴の恩返し(本作の題名は『つるの倒叙がえし』)であれば、「あー…善行は報われるけど、その後の行動次第だよね。謙虚な姿勢って大事だよね…」などなど。
※桃太郎(絶海の鬼ヶ島)だけは、昔話原作と少し読後感が異なりますが、“自分の特性・知恵を活かす”という意味での教訓は同じです(笑)
以上のように、「ぶっ飛んだ内容改変されているのに、読後感が原作と一緒」なところが、本作を面白く感じる理由かな〜と私は思いました。
表紙に騙されず読んでみて
いろいろ書きましたが、難しいことは考えずに、とりあえず読んでみてください。
表紙がポップで可愛らしいので、ライトノベル的なやつかな?と私も始めは思っていました。
いえいえとんでもない!緻密に構成された、超本格ミステリーです!
ミステリー好きな方にはもちろんですが、ミステリー興味はあるけど難しそう…と思っている方にこそオススメできます。
寒い冬のおうち時間のお供にぜひどうぞ。
こんな人にオススメ
⭐︎本格的なミステリーが好き
→表紙や題名に騙されず読んでみてください
⭐︎ミステリーに興味はあるけど難しそう…
→昔話がモチーフなので読みやすいです
⭐︎短時間で読書したい
→短編集なのですぐ読めます
はるのゆき