【読書】人に本をすすめる難しさと幸福
こんにちは、はるのゆきです。
先日『友達とは呼べないけどそれなりに仲が良い同僚』と、小説を貸し借りする機会がありました。
その同僚について
その同僚(女性)は、陰キャ陽キャのどちらかに分類せよと言われたら、確実に陽キャです。
ハーフ並みに彫りが深い美人。目元にはいつもキラキラ輝くアイシャドウ。シンプルなモノトーンの私服から、お洒落上級者オーラを醸し出している系女子です。
私のようにアイシャドウはラメ無しブラウン一択で、目立たず地味に働くことに全力を注ぐ、隠キャ代表みたいな女とは生きる世界が違うのです。
本来ならば、仲良くなる可能性はゼロに等しい彼女。
しかし年齢が近いことと、仕事上の数々の死線を共にくぐり抜けてきたことで芽生えた仲間意識により、日常会話を楽しむ程度の仲の良さを育んでいたのです。
本を貸してくれるとな?
そんな彼女が先日、話を振ってくれました。
「ゆきさん、本好きなんですか?」と。
なんでも彼女、見かけによらず(失礼!)読書が好きで、小説を沢山所有しているとのこと。
「私の好きな本持ってきますね〜」と満面の笑みで言った彼女は翌日、ある文庫本を手に私の元を訪れました。
その本は、辻村深月さんの『ふちなしのかがみ』。
うわ〜!!!!
こ、これは…
絶妙すぎる最高のチョイス〜〜(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)!!!
感服しました。
相手の読書歴や好きなジャンル、マニアック度合いなどを知らない状況で、辻村深月作品を持ってくるとは。。大正解すぎる!!
長くも短くもない文量
シリアスすぎず、でも軽すぎない内容
柔らかく読みやすい文体
「少し怖いんですけど大丈夫ですか?」と、さりげなく自分の好きなジャンルを推してくる、読書好きとしての真っ直ぐな姿勢
まさに正解を突きつけられ、彼女のコミュ力の高さと空気の読め具合に感動を覚えました。
本を薦めるのって難しい
私、人に本を薦めるのが苦手なんです。
社会人になりたての頃、同僚に京極夏彦さんの『姑獲鳥の夏』を貸して、「ごめん読めなかった…」と言わせてしまったことがあるので。
その後も、グロいのが苦手な人に(そうとは知らず)『教団X』を貸したりと、“何か違う”薦め方をしてしまうことが多く…
選書のセンスのなさに打ちひしがれていました。
本選びは思いやり
そんな時に「ふちなしのかがみ」を薦めてくれた彼女。彼女の姿を見て、心から思いました。
『薦める本を選ぶのは、相手への思いやりである』と。
彼女もきっと、私に何を貸すか悩んだに違いありません。
これだと内容が重すぎるかな?とか、これは長いから気に入らなかったら読むのしんどいよな…とか。
相手の性格とか、生活スタイルとか、いろいろ考えて選んでくれたんだろうな〜と思うと、その時間が本当に尊くて。
改めて、本を通した人との交流って素敵だなぁと心から思いました。
陰キャとか陽キャとか関係なく、本が好きなその人と仲良くなりたいから。
相手のことを思いやり、本を選ぶ。
これって読書好きの醍醐味ですよね。
私も苦手意識を克服し、相手のことを丁寧に考えて、本を薦められる人になりたいなぁと思いました。
ちなみに『ふちなしのかがみ』を読み終わり、悩み抜いた末に私が彼女に貸したのは、西加奈子さんの『きりこについて』。
優しい語り口調と、強いメッセージ性があるこの作品が大好きなんです。
“本を貸すこと”の後ろにある、「仲良くなりたい」気持ちが、彼女にも伝わりますように。
はるのゆき