【あらすじと感想】人間椅子
一つ前の記事に、江戸川乱歩さんの『人間椅子』を読んでの雑記を書きました。
今回は、『人間椅子』のあらすじと感想です。
- あらすじ
外交官を夫に持つ閨秀作家(女性作家のこと)の佳子は、毎朝夫の登庁を見送った後、書斎に籠もり、ファンレターに目を通してから創作にとりかかることが日課だった。ある日、「私」から1通の手紙が届く。それは「私」の犯した罪悪の告白だった。 Wikipediaより
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このあらすじを読んで、「私」の犯した罪を想像してみたそこのアナタ。
窃盗?殺人?それとも痴情の絡れ?いやいやその想像、きっと間違っています。
その想像の5倍、いや10倍は衝撃的な、恐ろしい事実がラストに待っていますよ。
- 感想
江戸川乱歩、大好きなんです。
昨年とある古本市に出向き、江戸川乱歩の短編集を100円で買いました。そこで出店者のおじ様に言われた一言。「あんたみたいな若い女性は、こういう気持ち悪い本が好きよねー。何でかねー?」
いや大文豪の作品に対して「気持ち悪い」って!
元々オジ様の本でしょうが〜(´・д・)!
という気持ちがチラつきましたが、心のどこかで共感している自分がいました。
そうなんですよね、江戸川乱歩のスリラー小説って、ただ怖いだけではなく「気持ち悪い」んですよね…
“グロい”という意味での気持ち悪さもありますが、それだけではなく。何というか、人間の恐ろしい本質をついてくる感じ。
ありえない設定なんだけど、あってもおかしくないな…と思えてしまう、妙な現実感。
乱歩は、人間の“正気”と“異常”の境界がいかにあやふやで、誰もが境界を越えうる可能性があることを、よーく分かっていた気がします。
だからこそ感じる妙な現実感。
人間ってこういうとこあるよね…と、自分に置き換えることができてしまう。イヤなのに、否定したいのに、登場人物が自分になり得てしまう。
(私も一つ前の記事に書きましたが、怖いくらい共感できてしまいました…)
それが「気持ち悪い」(褒め言葉)に繋がるのでしょう。
「気持ち悪い」(褒め言葉)の筆頭に挙がるのが、おそらくこの乱歩の代表作『人間椅子』。
読者は主人公である佳子と一緒に、「私」から届いた手紙を読み進めるというストーリー展開です。
手紙に書かれた「私」の人生を読むにつれて、じわじわと襲ってくる恐怖。
え…もしかして…?嘘でしょ…?
中盤まで読めば結末は想像がつくのですが、もう読みたくなくなるくらい気持ち悪い。背筋がゾッとする。でも読まずにはいられない…
漫画や映画など、メディア化もされているので結末を知っている方も多いと思います。
しかしぜひ、この作品は乱歩自身が綴った文章で、恐怖を体験してみてください。
退屈な日常生活のスパイスとなること間違いなしです。
- こんな人におすすめ
⭐︎日常生活に刺激がないなぁ
→日常に潜む恐怖を体験できます!
⭐︎ホラーやミステリーが好き
→この作品は必須科目でしょう
⭐︎短時間で読書したい
→短編なのですぐ読めます!
乱歩ファンが増えるといいな
はるのゆき